消防士はどんな装備と道具が支給される?自腹で買うのはなにがある?

防災
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消防士のイメージと言えば、燃えている建物に入って人を助ける。火を消すといったところでしょうか。

意外と知られていないのが、救急車に乗っているのも「消防士」ということ。
救急車に乗っている救急隊員や救急救命士も、各消防本部に消防士として採用されています。

そして、消防士という呼び方ですが、これは、消防吏員の階級を表しています。
消防吏員というのは、階級章を有する消防職員で、階級章がない消防職員は消防事務員なんて呼ばれたりもします。

消防士という職業は、地方公務員ということもあり、興味を持つ人も多くて、10代や20代で就職先として考えている人もいれば、最近では社会人枠というものもあり30代での転職を検討している人もいます。

消防士の勤務といえば、一般的には2交替制や3交替制があって、2交替制の消防本部が多いようです。

2交替制というのは、24時間勤務と24時間非番の1セットと、週休日を組合わせたものです。

例:勤務→非番→勤務→非番→勤務→非番→週休→週休

勤務中の24時間は部隊拘束されるので、勝手に庁外に出たり、休憩時間だからと言ってコンビニに買い物行ったりは出来ません。が、非番日は、自宅や買い物など出かけたり出来ます。

消防士に休みが多い印象を持っている方も多い理由は、この当番と非番の関係からくるものではないでしょうか。

非番日はなにかあれば召集されるので、基本的には管外に出ることはできませんが、届けを出せば、管轄外に出ることも出来ます。

ちなみに、昔は、採用された消防本部の管轄地域内に住むことが求められていましたが、近年はそこまで厳しくないのでA市の消防本部に勤務しているけれど管轄外のB市に住む。ということが出来る消防本部が多いようです。

ここまでは、職員募集のパンフレットに記載されていることもあると思います。が、ほかにこんな疑問はありませんか?

  • どんな道具を使っているの?
  • 装備は全部支給されるの?
  • 自腹で買うものってあるの?

そこで今回は、現役消防士のリアルな話をもとに、

  • 支給される装備
  • 壊れたら個人購入をしている物
  • 支給されないけど多くの消防士が使っているアイテム

を、わかりやすく解説します。

この記事を読めば、消防士という仕事の理想と現実のギャップが分かると思います。

いろいろな消防本部があるので一概には当てはまらないこともあると思いますが、参考にしてください。

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基本的に装備品は支給される

結論から言うと、消防士の個人装備は“業務を遂行するうえで必要なもの”は支給されます。
けれど、消耗品や仕事がしやすいようにするために道具は個人購入が多いです。

まず、消防隊員のモットーは「安全・確実・迅速」。

迅速は一番最後です。

最初に、【安全の確保】です。

災害現場でも訓練でも、なによりも大切なのは安全を確保すること

火災や事故、様々な災害に対応する彼らは、まず、自分自身の安全を確保して、要救助者を救助します。

自身の安全を確保するということは、要救助者の安全を確保することにもつながります。

ただ、一般の方が想像するような完全な安全を確保するのは非常に難しいので、危険環境の中での最大限の安全を確保します。

次に、【確実な活動】をする。

不確実な行動は事故につながります。事故につながるということは、安全ではないということです。

絶対にあってはならないことですね。

最後に、【迅速な行動】をする。

安全を確保して、確実な行動が取り、最大限の迅速性で災害に対応する。

これが消防の方たちが日々訓練や勉強をしている理由ですね。

そこに、仕事のやりやすさを求めるために、自分に合った装備は自分で選ぶ、というのが実情です。

消防士という仕事は「マニュアル通り」では成り立ちません。
だからこそ装備にも、その人なりの工夫とこだわりが表れるのです。

支給される個人装備

まずは、採用時や配属時に支給される装備から。
もちろん、制服や活動服や救助服、救急服は支給されるので、今回は装備品の支給状況を紹介します。


ここらへんは、必要不可欠な装備なので、基本的には支給されます。

白ヘルや防ヘルのヘッドライトは、ガスが充満する現場でも使用できる防爆構造のものが支給されるそうです。
「明るければ何でもいい」というわけではなく、爆発しないことが重要なんだそう。

防火手袋は災害現場で使うものですが、ほかにもケプラー手袋と、皮手袋というものがあります。

この違いはなんでしょう?

ケプラー手袋:消防車を運転する機関員が災害出動する際に着用したりします。

皮手袋:作業用として、車両整備や資器材を整備する時に使います。

防火服には2種類ある

ちなみに、防火服ですが、コートタイプのものもあれば、セパレートタイプのものもあります。
最近はセパレートタイプのものが多いのですが、私の知り合いが消防士になった2000年代はコートタイプの消防本部が多く、セパレートタイプの防火服を入れていたのは東京消防庁など一部の消防本部だったようです。

コートタイプ

コートタイプというのは、コートみたいに長い防火服のことです。

防火服としての機能は上着のみ。下に履くのはゴム長靴で、この長靴に引き上げるタイプの防火品が一体になっています。

バックドラフトというアメリカの映画がありますが、この映画に出ている消防士の装備がコートタイプの防火装備です。

そんなコートタイプは、上着は防火服ですが、下は長靴は、防火長靴とかではなくて、薄い鉄の板が入ったそこらへんに売っているようなゴム長靴です。

コートタイプは、夏はそこまで暑くありませんが冬はとにかく寒いです。防火ズボンをはかず、活動服の上にゴム長靴を履いているだけなので、下はスースーしています。

なので、冬など気温の低い季節に、濡れないように活動服の上に雨具のズボン、そして長靴を履く。といった消防士もいたそうです。

セパレートタイプ

セパレートタイプは皆さんがイメージするような防火服。
コートタイプと違って、防火性能のある防火ズボンに、防火長靴を合わせて履きます。

このセパレートタイプの防火服、冬はそれなりに暖かいですが、夏は暑くてたまりません。
近年は、気温が高い時期が長く続き、40度を超えるような酷暑の日もあって、こんな日に防火衣上下、防火ヘルメット、防火長靴、空気呼吸器で活動するのはさすが、消防士といってもキツイそうです。

最近は、ベンチレーションシステムが考慮された防火服が登場していますが、それでも暑いものには変わりません。

ただ、燃えている建物の中に入る屋内進入と言った活動をするならば、セパレートタイプの防火服でないとキツイです。

というもの、コートタイプは上半身だけが防火服で守られていて、下半身はただのズボンで膝や股の部分が弱くなっています。万が一屋内の温度が高くなってしまった時や、玄関以外の開口部から窓を破壊して進入したりするときにケガをしてしまう危険があるからです。

壊れたら自腹購入の可能性ある装備品

命を守るための個人装備は支給される。とはいえ、問題はここから。

まずは支給されますが、万が一壊れてしまったりしたら、自費で購入しなければけないものもあります。

この装備は使用頻度が高く、どうしても消耗・破損しやすい装備です。

消防本部によっては、点数制といって、毎年年齢や所属部隊に応じた点数を職員に与え、その点数内で自分に必要な物品を申請すれば支給してもらえる。といった方法があります。

例えば、1点500円の価値がある点数を60点をもらえたとすると、60点×500円=30,000円分相当になります。
その60点を使って、防火手袋:20点、編上げ安全靴:30点と書かれた支給品要望書から申請して支給してもらう方法です。

ただ、これだけで完全におぎなえるわけではないので、不足する装備分はどうしても自腹になってしまいます。

どうやって購入するかというと、消防向けの通販サイトだったり、カタログ、業者から。

例えば、防火手袋はだいたい8,000円前後

ある消防士さんは、「今は、丈夫なケプラー素材の手袋なので、購入する頻度も少なくなったけれど、革製の手袋しかない時代は、毎月のように買っていた。」とのことでした。

手袋などの消耗品は、最低でも予備を1双準備しておくとのことです。※手袋は“双”と数えます。

理由を聞いたら、「手袋が届くまで数日かかるので、破れてから買ってしまったんじゃ遅い。届くまでに災害があったら穴の開いた防火手袋を使わないとで危ないから。」と言っていました。

防火長靴なんかはサイトで調べてみると、安いものでも2万円台から販売されています。

ただ、なんでもいいわけではありません。
もし購入するようであれば、所属本部が使っている防火長靴や防火手袋を購入しているようです。

□□消防本部は○○社製の防火長靴を支給しているけれど、ある消防隊員は安いからということで、△△社製の防火長靴を履いていたとします。万が一その消防隊員が負傷してしまった場合、□□消防本部が、支給している○○社製の防火長靴を使用しないことが原因で負傷したとなった時、かなり怒られるそうです。

自腹購入の個人装備

次に、支給されないけれど個人購入率の高いものを紹介します。

ロープ袋は、腰にぶら下げる袋で、小綱というスリングを一本を入れることが可能。
現場で、ホース結着したり、はしごの上部結着する時に消防車に取りに行く時間がもったいない。という理由で購入している方が多かったです。

標準装備として防火衣に備わっている消防本部もあるようです。

ほかにも、500mlのペットボトルを入れることが出来るなど、色々なものを入れることが出来ます。

防火頭巾(防火フード)は建物や車両などの火災や、山火事などで消火活動や、屋内検索や屋内での消火作業するさいに、少しでも肌の露出部分を減らすことで、火傷をする危険性を減らすことが出来ると思います。

また、火災などの災害現場では、微小な有害物質がたくさんあるので、肌の露出部分をなるべく減らして、有害物質の付着を防ぐために。といった理由だそうです。

ただ、標準装備として支給されている消防本部もあるようなので、支給されていない消防だと、個人で購入している方が多いです。

そして、最近、消防士の間で人気なのがウロボロスクリップというクリップとカラビナが一緒になっているアイテム。

ウロボロスクリップ

防火服に付けて、防火手袋などを吊るす使い方をしている方が多いです。ただ、「便利だけど、防火服に付けるのは正直ちょっと危ない」と思います。

理由は、

  • 引っ掛かりが増える
  • ゴミが入りやすい
  • 防火手袋を落としたのに気付かない可能性がある

防火服やズボンにはポケットがあるため、防火手袋はそこに収納した方がいいとのこと。

例えば、メインの防火手袋はウロボロスクリップを使って消防車の車内に吊るしておいて、出動時にパチッと外して使う。
そして、防火服のポケットには、予備の防火手袋を入れておく。とすれば、万が一現場で使っている防火手袋が使えなくなってもすぐに予備の手袋に付け替えることが出来ます。

消防車は座る席が決まってる

意外と知られていないのが、消防車は座る席が決まっているということ。
※いろいろな消防本部があるので、あくまで参考です。

  • 運転席:機関員
  • 助手席:隊長
  • 運転席後ろ:副隊長
  • 隊長後ろ:隊員

「自分がどこに座るか」が決まっているからこそ、

  • 道具の配置
  • 手袋の位置
  • 取り出しやすさ

を勤務中は自分仕様にカスタマイズしている方が多いです。

これは、“一秒を争う現場”が前提の仕事だからこそ生まれたことなんでしょうね。

まとめ

消防士の装備事情を知ると、「意外と自腹が多い…」と感じる人もいるかもしれません。

確かに、必要な装備品は支給されるけれど、その支給品がどのタイミングで壊れるかは分かりません。

個人の装備はその人が管理しなければいけない。なので、点数制度等があれば、それを利用して事前にストックを作っておく。それでも足りないものは、自腹で購入してでも自分の身を守るということなんでしょうね。

  • 要求助者を助けるにはまず、安全管理
  • 安全管理は自己管理
  • 自己管理は適切な装備管理から

消防士という仕事は、「かっこいい」です。消防車を見れば子供たちは手を振ったり、きらきらとした目で見てくれます。
ただ、「かっこいい」というだけでは続けることはできないと思います。

もしあなたが消防士に興味を持っているなら、
このリアルを知ったうえで、ぜひ一歩踏み出してみてください。

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